I'm fine ! といつでも言える暮らしのために役立つ情報がいっぱいです。      
Home Health Supplement Child DietBeauty  
Healthトップ>[健康 コラム]  
[No.037 ようやく規制されるシックハウス症候群]

 シックハウス症候群の原因物質として、2種類が法規制されることになった。規制されるのは、白アリ駆除剤として使われる「クロルピリホス」と壁紙などの接着剤などから出る「ホルムアルデヒド」。「クロルピリホス」は使用禁止、「ホルムアルデヒド」は一定面積以上の使用を制限される。マンションなどの機密性の高い住宅では換気設備の設置を義務づけ、違反すると、業者などに自治体から回収命令が出され、従わない場合は、1年以下の懲役または50万円以下の罰金になる。

 これは1年以内に施行される予定。ようやくシックハウス対策に国が乗り出したと少しは喜びたいところだが、安心できる状態ではない。

 シックハウス症候群に関わる原因として、厚生労働省は13種類の化学物質を選んで、室内濃度の指針値を定めているが、今回の規制の対象はたった2種類。他の11種類は今までのまま。業者の自主規制にまかせるしかない。

 厚生労働省は、室内濃度の指針値を決めている化学物質を50種類前後に増やそうとしており、トルエン、キシレンなども規制に検討されている。

 しかし、今回の規制対象の2種類や今後規制される物質に代わって使用される化学物質がもし有害だったら、また、その有害性を実証し規制に至るまでに随分時間がかかる。まるでいたちごっこだ。

 シックハウス症候群は、化学物質過敏症の1種で、全国で500万人もの人が影響を受けていると推計されているが、まだ病気として認定されていないため、実際にどれくらいいるのか、実態は把握できない。

 新築の家に転居してから、家族全員が体調を崩し、咳、めまい、頭痛などの症状に見舞われるという場合もある。原因が化学物質だとわかったとしても、その新居を建てた業者を訴えるのは相当な苦労がいる。

 まず、身体の不調な症状の原因が特定の化学物質だと認定されるまでが大変。以前、北里大学に取材に行った際、化学物質過敏症の人の治療する病室について取材したことがある。そこは完全な無菌室(無化学物質)状態で、そこに数週間入院し、まず体内の化学物質を外に出してから、化学物質を1種類ずつ接触させ、原因物質特定していくのだという。時間と根気が必要だ。

 もし、そこで原因が特定されたとして、住居に問題があったら、すぐに引っ越しできるだろうか。新居を建てたばかりでローンなど抱えていたら・・と思うとそう簡単ではない。

 国民生活センターによると、シックハウス症候群の疑いの苦情は80年代ごろから始まり、90年代に急増、毎年200件の相談が寄せられているという。90年代になってから、大量に使われ出した、建材や化学物質など、疑わしいものをもっと早くから規制・排除できないものなのか。

 化学物質2種類だけではなく、一気に13種類規制してほしい。そのうえ、新築の建物には、建てたすぐ後に必ず有害物質検査も行ってほしい。有害物質の対策は換気といわれているため、時間がたてば原因がわからなくなるからだ。

 国民の健康被害が多く出てからしか対策を講じない国の姿勢は今すぐには変わらない。化学物質過敏症は、いつ我が身に降りかかるかもしれないため、1人でも多くの人が有害物質にもっと注意を払うべきだと思う。

 

化学物質過敏症については エコロジー「化学物質過敏症とは」も参考にしてください。

---2002.7.6 (c) Mica Okamoto ---

Healthトップページ