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2003年冬に猛威を振るったSARS(重症急性呼吸器症候群)。2002年11月から今年7月にかけて患者が発生し、2003年の冬にはあちこちの国で渡航禁止命令まで出て、大騒動になりました。原因は”SARSコロナウイルス”であることはつきとめられましたが、未だに感染経路が特定されず、2004年新年には中国でハクビシンが感染源だと疑われ1万匹も処分されました。 2004年冬は、SARSの再流行が懸念されていますが、実態が解明されつつあり国側の態勢も期待できるため、昨シーズンほど心配することはないと思われます。今のところ日本にSARSウイルスは存在せず、もし海外から患者が入ってきたとしても対応の準備があり、流行は回避できると予想されています。とはいえ、絶対に流行しないとはいえません。 一方、インフルエンザについては、昨シーズンの日本で、約1500万人が感染し、142万人が入院しました。初期症状や流行時期がSARSと似ているため、インフルエンザに対しての警戒は例年になく高まっており、厚生労働省は今シーズンのためにインフルエンザワクチンを昨冬より4割多い約1480万本を用意して各自治体に接種を促し、インフルエンザ治療薬は2倍以上の約1300万人分も用意しています。ただ、2003年12月には、地域や病院によってインフルエンザワクチンの備蓄量に偏りが生じ、ワクチン不足の報告が寄せられています。 インフルエンザとSARSは、38度以上の発熱があり、全身症状もよく似ています。 感染方法について、SARSは、咳などの飛沫が約1m範囲内にいる人飛んだ場合や、濃厚な接触によって痰や体液などから感染します。インフルエンザは同じ飛沫感染でも、ウイルスがある程度空気中を漂うため、電車内などにインフルエンザの人がいる場合、その車両全員に感染する恐れがありますが、SARSはSARS患者の1〜2m以内の人にしかうつりません。ただ、SARSは、患者の便を含む下水が原因となった例もあり、飛沫や接触以外でも感染の可能性があります。 インフルエンザウイルスは、主に鼻やのどの粘膜で増え、肺炎になることは少ないですが、SARSのウイルスは、鼻やのどの粘膜から入って増え、リンパ腺でも増えて肺に入り混み、肺炎を引き起こします。 予防については、手洗い・うがい、マスク着用などはインフルエンザとSARSの両方に効果があります。インフルエンザはワクチン接種をすると、かかる可能性はあっても重症化は避けられます。もしインフルエンザにかかってしまっても、抗インフルエンザウイルス薬があります。ただし、これらの薬は発症して48時間以内に飲まないと効果がないので、インフルエンザが疑われるときは、すぐに病院に行きましょう。 ▼気になる健康情報【風邪とインフルエンザ】 も参考にしてください。 万が一の混乱を防ぐには、インフルエンザの正しい知識を身につけて予防し、SARSを発見しやすくすることが大切です。インフルエンザとSARSについての違いについてまとめてみました。
参考:国立感染症研究所、日経TRENDY |
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