[No.107 : 増え続けるHIV感染]
国連エイズ計画(UNAIDS)がロンドンで11月26日に発表された国連の報告書によると、HIV感染地域は世界的に拡大しており、2002年末のHIVウイルスに感染者数は4200万人と推定。2002年には新たに感染した人が500万人、そしてエイズで亡くなった人が310万人もいました。
今まで男性が多かったエイズ感染者ですが、今年初めて成人の感染者のうち女性の割合が半分に達しています。その例にあげられるサハラ砂漠以南のアフリカ諸国では、感染者は2900万人に達しており、女性の感染が増えています。2001年の15歳から24歳の年齢層のHIV感染者は、女性が6〜11%だったのに対して、男性は3〜6%と若い女性の感染者は男性の約2倍もいます。
その背景には、武力紛争や難民の発生に伴う住民の移動や、文化的に女性が隷属的な地位に置かれているため、レイプが横行し、女性のHIV予防が難しいという背景があります。また、貧困のため未成年女性が性交渉で衣服や学費を得ていることも明らかになりました。女性感染者が増えると母子感染でさらに感染者が拡大する可能性があります。
東欧諸国のほとんどの国でも感染者が急増中です。10年前、東欧ではHIV患者は限られた地域にしかいませんでしたが、今では、同地域にどの国でもHIV感染が問題になっています。感染は瞬く間に中央アジア全土に広がり、数年前にはほぼ皆無だった中国にまで拡大しています。
特に中国では極めて深刻で、数年前までHIVが事実上存在しなかったのに対し、HIV感染者は年30%ずつ増えており、このスピードで増え続ければ、現在100万人のHIV感染者は、2010年には1000万人に達する可能性もあると、中国衛生部の張文康部長は答えています。感染拡大の大きな原因はドラッグ使用ですが、エイズ予備軍がドラッグ使用者といった特殊な人々から一般人へも広がりつつあるという問題も指摘しています。
日本では1985年に最初のエイズ患者が見つかってから、98年のHIV感染者の届け出数は4137人、その後国内での異性間性的接触による感染報告が増えています。2002年6月30日時点でのHIV感染者は4798人、地域では東京都が1813人ともっとも多く関東エリアで7割以上を占めています。
国連では2010年までに4500万人が感染する恐れがあると指摘しており、今後も増える続けることは確実です。国際化が進む日本もその影響を受けることは間違いないでしょう。
---2002.12.6 (c) Mica Okamoto ---
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