[No.078: コンタクトレンズによる目のトラブル]
コンタクトレンズの利用人口は約1500万人といわれ、国民の10人に1人以上が使用している現在。その普及に伴って、コンタクトレンズによる目のトラブルも増えてきており、ある調査によると1割の150万人に眼障害があるという結果が出ています。
■トラブルの実態
コンタクトレンズによる目のトラブルの多くは、レンズをつけたまま眠ったり、1週間用のレンズを3週間以上も使ったりといった間違った使い方のせい。
全国の眼科医からアンケート調査によると、目のトラブルの70%がソフトコンタクトレンズによるもので、トラブルを起こした人の6割以上がコンタクトレンズを作った後に眼科での定期検診を全く受けていないことがわかりました。
特にソフトレンズは薄くて装用感がよく、目のトラブルに気づきにくいもの。目のトラブルを最小限にくい止めるには、眼科での3ヶ月に一度の定期検診が欠かせません。
■コンタクトレンズ3大眼障害
「異常がない」といって定期検査を受けない人が多いのですが、そうするとどうなるか? 代表的な3つの障害を紹介します。
【巨大乳頭結膜炎(アレルギー性結膜炎)】
目やにが多くなり目がかゆくなってきたり、上まぶたの裏側(結膜)にブツブツ(乳頭)ができるアレルギー性疾患です。原因はレンズに付着した変性タンパク質で、ソフトレンズ装用者の20%に発症しています。
抗アレルギー薬を点眼し、レンズの装用をしばらく中止すると治ります。
ソフトレンズの煮沸やつけおき洗浄をやめて、クリーナーによるこすり洗いやコールド(薬品)洗浄にし、装用時間を少な目にすることで予防できます。
【点状表層角膜症(びまん性角膜上皮症)】
角膜に傷がつく角膜上皮障害には、自覚症状がないものから、異物感や目がしみるといった軽度のもの、激しい痛み、充血、まぶたのはれなどが生じるものまであります。角膜上皮の炎症に細菌感染が重なると、失明につながることも。
点状表層角膜症(びまん性角膜上皮症)は、角膜上皮(角膜の最表層)に点状に生じる多発性の傷を指し、症状としては目がゴロゴロする異物感や充血があげられます。
原因となる疾患によって症状の重さは異なり、まつげに異常があったり、まぶたが炎症を起こしたり、涙が少ないドライアイなどでも起こります。
すぐにコンタクトレンズの装用をやめ、感染が疑われる場合は原因菌を調べて抗生物質を使います。治った後もハードレンズにしたり、装用時間を短くしたほうがいいでしょう。
【角膜内皮細胞障害】
自覚症状が全くないまま進行します。黒目の透明性を維持するための角膜内皮細胞は、加齢とともに減少し70歳で半減するのですが、コンタクトレンズの使用で減少が激しくなります。角膜内皮細胞が減少し過ぎると、年をとってから白内障の手術を受けようと思っても受けられないことがあります。原因は、角膜の慢性的な酸素不足です。
定期的に角膜内皮の検査を受けると予防できます。細胞数の減少が激しい場合、使い捨てレンズや酸素透過性の高いレンズに変えることがすすめられます。
■コンタクトレンズによるトラブルを防ぐには
最も多い原因は、使用期限をきちんと守らない長時間の装用です。長時間装用をすると、眼の表面が酸素不足になり、傷がついたり、細菌感染を起こしやすくなります。また、レンズの洗浄不足による汚れや傷なども原因になるため、ハードのレンズは片面30回以上、ソフトのレンズは片面20回以上のこすり洗いをしましょう。
充血や痛み、目の違和感を見逃さないことも重要です。特に、充血は角膜に傷がついている証拠なので、ほうっておくと細菌感染で角膜潰瘍を起こし、失明に至る危険性もあります。充血したらすぐにレンズの使用を中止して、眼科医に診てもらいましょう。
使うときは手を清潔にしたり、眠るときははずすなどの基本を大切に。また、目の具合が悪いときは無理して使い続けるのはやめ、メガネを使いましょう。コンタクトレンズは目に直接負担がかかるものですから、メガネを併用して、できるだけ目を休める時間を多くとりましょう。
---2001.9.8 2005.3.10 (c) by Mica Okamoto ---
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