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[No.053:エコノミークラス症候群を防ぐには]


 「エコノミークラス症候群」をご存じですか? 海外旅行などで飛行機のエコノミークラスの狭い席に長時間座っていた後、飛行機から降りた直後に倒れるというもので、最近増えています。

■エコノミークラス症候群とは?

 エコノミークラス症候群とは、飛行機や車などの狭い座席に、長時間座っていることが原因で血行不良が起こり、脚の静脈に凝血の固まり(血栓)ができ、この血液の固まりが、脚から肺に運ばれ肺動脈が詰まり、酸素を取り込めなくなってしまう「肺塞栓症」のこと。血栓は脳や心臓に移動して、脳卒中、心臓発作を誘発する場合もあります。

 飛行機のなかは、湿度が20%程度に低くなるため、体内の水分も失われ、血液の循環も悪くなります。そのうえ、アルコールやコーヒーなどを飲んで、尿が出やすく、体内の水分が失われがちです。また、飛行中の機内の気圧は、0.8気圧程度と、1500mの高山にいるのと同じ状態で、呼吸器や循環器に負担がかかります。さらに、長時間座ったままで、足を動かさないため、足の静脈に血の塊(血栓)ができやすくなります。

 これらの要因でできてしまった血栓が、着陸後、血の巡りが通常の状態になった途端、血流に乗って肺に入り、肺の血管を塞いで、呼吸困難や心配停止などを起こしてしまうのです。

 成田空港でエコノミークラス症候群で死亡した人は、1992年から計25人で、平均年齢は64歳。エコノミークラスだけでなく、ファーストクラスの人もいました。

■増える肺塞栓症

 「肺塞栓症」は、飛行機に長時間搭乗したために起こることが注目され、エコノミークラス症候群という名で呼ばれるようになりましたが、長時間の運転やデスクワークでも起こりうる症状で、最近増加しているといわれています。

 血液が粘りやすい肥満や高齢者に多く発症しています。また、腹部を大きく切らずに空気を注入して腹部を膨らませて行う腹腔鏡手術の際に、静脈を圧迫して血流が悪くなり、血栓ができやすくなって起こったり、手術中や手術後の安静時に血液が流れにくくなって起こる場合もあります。がん患者は血液が固まりやすくなっているため、比較的多いといわれています。

 米国では、年に数万人が肺塞栓症で死亡していると推定され、肺塞栓症で死亡する割合は欧米で入院患者1000人当たり3〜5人に対し、日本は2.6人という報告もあります。

■飛行機に乗る際の予防法

 飛行機でエコノミークラス症候群を起こさないようにするには、体内の水分不足と運動不足を防ぐことです。

 まずは十分な水分補給が大切です。水やソフトドリンクを適度に飲むこと。また、時々立って歩いたり、脚がむくみ始めたらマッサージを行ったりして、脚を動かしましょう。

 窓側の席に座ると、隣の席の人に迷惑がかかるなどと気を使い、通路に出るのを控えてしまいがちで、中高年のなかには、フライト中に一度も席を立たず、この症状を起こしてしまう人も多いそうです。健康のためには、時々体を動かすよう心がけましょう。

 また、搭乗前に、軽めの食事をしたり、ノンアルコール飲料を飲むことは、血行を促し、血が固まるのを予防します。ただし、食べ過ぎると、血液の流れが消化器官に集中するため、適量がポイント。

 この症状について、航空関係者のなかでは、以前から知られていましたが、国内の航空会社は、予防を広く呼びかけることで、飛行機は怖いという印象がついてしまうと恐れ、十分に注意を呼びかけなかったことで、被害を広げる結果になりました。肺塞栓は飛行機だけで起こることではないので、「エコノミークラス症候群」という名前自体に不本意な部分もあるようです。

 しかし、海外の航空会社では、搭乗の際に飲料水のペットボトルを渡したり運動できるスペースを作り、積極的に対応をしているところもあります。

 どの飛行機に乗っても、自ら予防をするように心がけて、旅行を楽しく快適なものにしましょう。

---2001.2.3 (c) 2001 by Mica Okamoto ---

 

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