[No.046:気になる口臭]
口臭は気になるもの。ある調査によると、80%が自分の口臭を、90%の人が
他人の口臭を気にしているといわれています。
■口臭の原因は
口臭の原因の80%は口腔にあるといわれています。主に虫歯と歯周病です。
これらは、細菌が増えることによるものですから、口腔内の細菌の異常繁殖が
口臭がの要因になるといえます。
健康な人の口腔内には、およそ100種以上の細菌が常在しています。歯垢や
歯石には、10億とも100億ともいわれる歯周病菌がいるといわれています。
虫歯を治療してない場合は虫歯の穴に食べ物がはさまり、歯垢や歯石となり、
腐敗して口臭の原因となります。歯周病にかかってしまった場合も同様です。
また、口内炎などの口腔内の粘膜の病気で細菌が繁殖したり、舌の上につく
舌苔(ぜつたい)が多いと口臭が発生する要因になります。
唾液の分泌量にも関係があります。緊張時や、就寝中などは唾液不足となる
ため、唾液の自浄作用が低下し、細菌の繁殖につながります。ですから、朝起
きたときには口臭がきつくなりますし、ストレスが多いと緊張するため、唾液
が減少し口臭が出てきます。
口腔以外には、内臓疾患が原因の場合があります。糖尿病では甘酸っぱいア
セトン臭、胃潰瘍ではアンモニア臭、肝機能障害ではネズミのようなアミン臭
がします。
■口臭の予防法と抑制法
まず虫歯や歯周病の治療が先決です。ほとんどの口臭は、虫歯や歯周病の治
療で減少するといわれています。治療後は歯垢や歯石がつかないよう、きちん
とブラッシングし、一般では取りきれないものは、定期的に歯科医にいって取
り除いてもらいましょう。
舌苔の除去には、歯ブラシを用いる人が多いようですが、歯ブラシだと舌表
面を傷つける恐れがあるため、専用の舌苔除去用のブラシ、または、ガーゼを
使ったほうがよいでしょう。
緑茶でうがいをするのもおすすめです。緑茶のカテキンなどのポリフェノー
ル類やクロロフィルには消臭効果があります。緑茶でうがいをした後の歯磨き
も効果あり。また、ダシ昆布にも消臭作用があり、噛むことで唾液の分泌が増
えます。
口のなかが乾燥しないようにすることも大切です。ストレスをためず、緊張
しないように心がければ唾液分泌も多くなります。
ガムやアメで口臭を抑制するのは「マスキング」と呼ばれ、口臭より強い香
りで口臭を隠すということです。唾液分泌の促進にもなりますが、根本的な解
決にはなりません。さらに、常に中性に保たれている唾液のph値を変動させて
しまうこともあります。ガムやアメ、洗口剤などを使いすぎると、唾液が酸性
に傾き、口臭の原因を作り出します。
喫煙やコーヒーも口臭の要因になります。やめるのが難しい場合、喫煙本数
を減らしたり、コーヒーを薄めたりすることで、かなり口臭は軽減します。
食生活も大事です。肉類を減らし、魚や野菜を多く、よくかんで食べると唾
液の分泌も増えます。間食は減らし、1日3色をきちんと食べることで、唾液
のph値の変動が減ります。
■自臭症
口臭はなく他人は臭わないのに、自分は口臭があると思い込んでしまう人が
最近増えています。「自臭症」や「口臭症候群」と呼ばれていて、心的要因に
よるものです。
この症状になる人は大きく2タイプあるといわれています。
ひとつは内気で引っ込み思案で、自分の意見をはっきりいえず、問題が起こ
ると「すべて私が悪いのだ」と自分を責め、自分の口臭が人に迷惑をかけてい
るのではと恐れているタイプ。
一方は、自己主張が強く自己中心的で、何か問題が起こると、その原因を自
分以外の人や物に求め、うまくいかなくなると「自分の口臭のせい」というタ
イプです。
きっかけはさまざまですが、一度なってしまうと、一般の歯科で口臭測定を
して「口臭がない」ことを医師が説明しても信じない人が多いそうです。精神
科でも歯科医でも治療が難しかったのですが、最近は口臭外来を行っている医
療機関もあります。
---2000.12.2 (c) 2000 by Mica Okamoto ---
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