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[No.039:体に良い牛乳とは]


 今年の夏は雪印牛乳の騒ぎで、牛乳が注目を浴びましたが、牛乳の味は気に しても、製造方法による栄養についてはあまり知られていません。どんな牛乳 が栄養があり、安全性が高いか考えてみましょう。

■牛乳の種類

 牛乳にはおおきく4つの殺菌方法があります。

◆LTLT(Low Temperature Long Time)低温長時間殺菌法
 63度30分の加熱処理が基準。大量処理には向かない。甘味ととろみが増す。 たんぱく質の変質やビタミンの破壊を防ぎ、カルシウムの可溶性を保ったまま になることから大変吸収率が良い。たんぱく質が変質してないことから牛乳特 有ののどに残る感覚がなく、さらっと飲める。逆にコクがなくてあっさりし過 ぎと感じる人もいる。

◆HTST(High Temperature Short Time)高温短時間殺菌法
 72度15秒の加熱処理が基準。パイプなどに原乳を通しながら連続的に加熱処 理を行う。タンパク質やカルシウムの熱変性が少なく、原乳に近い風味がある。

◆UHT(Ultra High Temperature)超高温殺菌法
 80〜85度5〜6分加熱のあとに120〜130度2秒の加熱処理が基準原乳中の 有用な菌までも殺してしまい、また、タンパク質やカルシウムの変性も大きい。 加熱臭が加わることもある。市販の牛乳の多くはこの方法。大量生産できるだ けに、値段は安め。

◆LL(Long Life)
 ロングライフミルク=LL牛乳は、UHT処理(日本のLL牛乳の場合、135〜150 度のより高温な滅菌処理が多い)の後、無菌状態でABパックなどに充填した牛 乳で、冷蔵しなくても約90日保存できる。

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 LTLT法とHTST法はフランスの細菌学者のパスツールにちなみ「パスチャラ イズ法」と呼ばれています。パスチャライズ牛乳はタンパク質やカルシウムの 変性が少なく、栄養もあります。しかし、低温殺菌では完全に雑菌を除去でき ないのではないか、という意見もあり、O157問題にからめて低温殺菌牛乳を 全面否定している学者もいるようです。

 市販の牛乳の多くは、搾乳した牛乳を未殺菌のまま消費地まで輸送し、そこ で殺菌・パックする“消費地パック”の方法です。これだと輸送中に細菌数が 増えて乳質が劣化してしまう可能性があります。

 高温殺菌牛乳がコクがあると感じるのは、超高温殺菌でできる硫化水素と、 たんぱく質の変質からくるコゲ味をコクとかんちがいしているという意見もあ ります。しかし、ビタミンは加熱温度より加熱時間が長い方が破壊されるし、 カルシウムは不溶性でも胃でイオン化されるので、高温殺菌も低温殺菌も吸収 率はそう変わらないという意見もあります。

■本当に良い牛乳とは

 牛乳の衛生管理は厚生省が推進してきた「HACCP(ハサップ)」で行われて います。HACCPはアメリカNASAの宇宙計画で食中毒を起こさないように、ロ ケットの品質管理手法を宇宙食の衛生管理に当てはめたのが始まりです。原料 の受け入れから製品の出荷までを細かく分析し、各工程で細菌や有害物質を防 ぐもので、欧米、カナダなどで導入され国際基準となっています。

 雪印はHACCPの認定を受けていましたが、今回の事故が起こりました。アメ リカでもHACCP認定のハンバーガーチェーンでO157が発生し、HACCPが万全 でないことが証明されています。HACCPのマニュアルどおりの方法だと、次々 と生み出されるさまざまな新製品をきちんと管理できるのか、疑問です。

   また、HACCPの考え方で管理を徹底すると、事故を防ぐためには無菌状態に するLL(ロングライフ)方法がいいということになります。しかし、無菌状態 の牛乳は自然の牛乳とは程遠いものとなります。

   牛乳を飲むなら栄養があっておいしいほうがいいのは当然です。乳酸菌など を残し、有害な菌だけを殺す低温殺菌牛乳は、HACCPとは別の考え方の古くか らの牛乳づくりの技術です。大量生産で扱いやすい方法で製造されていけば、 食品というより工業製品に近づいて行き、自然からの恩恵は受けられるのか不 安です。

 牛乳に関して言えば、小規模な酪農家の低温殺菌牛乳のほうがおいしさも衛 生管理も目が行き届いているように思えます。健全な食べ物を手に入れられる ように、消費者も安全性に敏感でいたいものです。

---2000.10.7 (c) 2000 by Mica Okamoto ---

 

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