[No.002: 話題の海洋深層水 ]
昨年から脚光を浴びている「海洋深層水」。飲み物や豆腐、醤油、味噌、化粧品に入浴剤「海洋深層水使用」というだけで飛ぶような売れ行きです。
◆海洋深層水ってなに?
太陽の光が届かない海の水深200mより深いところで、なおかつ水温が急に低くなった層にある海水のこと。グリーンランド沖と南極大陸周辺で生まれ、深い海底をゆっくりと南下して行き、なんと2000年もかけて北太平洋に達します。
注目される理由は、含まれるミネラル成分の質。海水には約60種類のミネラルが含まれており、それは人間にとって必要な微量元素に匹敵します。でも、その量は水深200mより浅いところの表層水とあまり変わりません。
しかし、水温と富栄養量と生菌量が違うのです。深層水は常に10〜15度の低温で、表層水に比べ栄養塩類が多いうえ、水質汚濁のめやすとなる全有機物が少ないのです。太陽の光が届かないため光合成ができないせいもあり、植物プランクトンが少なく、生菌量が表層水の10分の1から100分の1とひじょうに少ないのです。つまり、微生物の汚染が少なく、清浄性の高いきれいな水なので、豊富なミネラルをたっぷり摂ることができるのです。
◆医学的にも有効
まず注目されるのがアトピー性皮膚炎。アトピーには海水治療が効果があるといわれていますが、深層水を使用した治療をした人たちの61%に効果があったというデータがあります。また、マウスに水、表層水、深層水を投与した実験では、深層水を与え続けたマウスのコレステロール値が下がったという研究結果も報告されています。要因についてはまだ解明されていませんが、深層水のなかに特に多いケイ酸塩に含まれるケイ素になんらかの効果があるのではといわれています。
清酒の仕込み水に深層水を使用すると酵母の増殖が活発になったり、醤油の醸造に使ってもアミノ酸や乳酸の生成が多くなる結果が出ました。発酵の進み具合が違うということは、そのもののもつ性質を大いに引き出すパワーを持っていることにつながります。
きれいな水がこんなに注目されるのは、周りの水への不安からかもしれませんが、栄養豊富な水で身体が持つパワーがアップすればありがたいことです。海洋深層水の値段は高めなのでミネラルウォーターのように買うわけにはいきませんが、深層水を使用した商品で少しは恩恵を受けてみたいものですね。
(参考:日経ヘルス2000年2月号)
---2000.1.22 (c) 2000 by Mica Okamoto ---
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