[No.016:歯や骨をつくるのに必要なビタミンD]
ビタミンDは、なじみが少なく、その働きを知っている人は少ないようです。
そこで、今回はこのビタミンDについてお話します。
ビタミンDは、脂質の中に溶けこんで存在する脂溶性ビタミンの一種です。
ビタミンは体内では作られないため、食べ物からとる必要がありますが、ビタ
ミンDは紫外線に当たることによって皮膚で作ることができます。
代表的な働きは、骨の材料となるカルシウムやリンの吸収をよくすることで
す。また、カルシウムが骨から出ていくのも防ぎ、骨の形成において欠かせな
いビタミンです。歯の石灰化も促進し、強い歯を作ります。
ビタミンDは、様々な食品に含まれていますが、とくに魚類、キノコ類に豊
富です。栄養所要量が定められていて1日に必要な量は成人で100IU(国際単
位)です。脂溶性ビタミンなので身体に蓄えておくことができるため、週に2
〜3回魚を食べれば必要量をとることができます。
さらにビタミンDは、加熱による損失も少ない、非常に安定したビタミンで
す。このため、不足しにくいと同時に、過剰症(とり過ぎによる障害)を起こ
しやすいビタミンとも言われています。
食事からとる分には、過剰症の心配はありませんし、皮膚で作られるビタミ
ンDの量も、一定以上には上昇しません。ただし、サプリメントやビタミン剤
などで毎日過剰に摂取すると、食欲不振、体重減少、頻尿、嘔吐など過剰症の
症状が出てくることがあります。ひどい時には、腎臓や動脈にカルシウムが沈
着して異常な石灰化を起こしたり、神経障害を起こすこともあります。このた
めビタミンDを食事以外から摂取する時は、医師、薬剤師の指示や、おすすめ
量をきちんと守ることが大切です。
数年前まで「ビタミンDを皮膚で作るために多いに紫外線に当たりましょう」
という栄養指導がありました。しかし、今では、紫外線は、目に刺激を与えた
り、肌荒れ、白髪や脱毛、皮膚がんの原因になるため、当たり過ぎの注意を呼
びかけています。
とくに、近年、オゾン層の破壊により紫外線量が増加しているので要注意。
ビタミンDを作るための日光浴は1日10分も外へ出ていれば、それで十分です。
---2001.10.13 (c) 2001 by Mari Wakasugi ---
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