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[No.070: 擦り傷は、乾かすより濡らしたほうがいい?!]

「擦り傷は、消毒して、絆創膏を貼って、かさぶたができるのを待つ・・・」 というのが常識と思っていたが、そうではないらしい。この従来のガーゼと消 毒薬の治療を否定し、「消毒をしない」「乾かさない」「水道水でよく洗う」 を3原則とする治療法を「湿潤治療」という。

消毒薬で殺菌したほうがいいような気がするが、消毒すると消毒薬が傷のタ ンパク質と反応して傷を再生しようとする細胞に影響を及ぼし、逆に傷が治る のを遅らせるのだという。

それに、乾かすと再生組織が壊死してしまい、傷口が再生するのが遅れてし まうのだそうだ。水道水でじゃんじゃん洗ったほうが、傷の化膿の予防のため によいという。皮膚の組織は常在細菌に対して耐性が強いため、細胞が壊死し たり異物が入ってこなければ、そう簡単には感染症になどならないのだそうだ。

この湿潤治療は、1980年代に、WOCの看護認定看護士よりアメリカから日本 に紹介されていたが、ガーゼ治療が主流の日本では全く浸透せず、2000年をす ぎた頃から徐々に普及してきた。アメリカでは、1960年代後半から湿潤治療の ほうが治りが早いということが知られており、"Moist Wound Healing"と呼ば れて医療機関でも一般的な治療法として普及しているのだという。

日本ではまだまだ消毒+ガーゼ治療が主流だが、湿潤治療をする医師が少し ずつ増えている。医療現場では、ポリウレタンフィルム、ハイドロジェルなど が利用され、湿った環境が続くような状態にしている。

 最近、バンドエイドの「キズパワーパッド」が発売され、一気にこの治療法 が知られるようになった。「キズパワーパッド」は、ハイドロコロイド素材で できており、「キズをぴったり覆って、傷口から出てくる体液を保持したほう が、傷が早くきれいに治る」というふれこみ。

「早く消毒して絆創膏を貼りなさい」などといわれ、ぐじゅぐじゅした傷を フーフーいって乾かした記憶がある人は多いと思うが、全く180度逆ではな いか。子どもの頃、擦り傷ができたら赤チンやオキシドールで消毒する際、し みるのが嫌だった。その後、しみないマキロン、キズアワワなど、進化した新 しい傷薬がどんどん出てきたが、あれは一体、なんだったのだろうと思ってし まう。

新しい薬がどんどん開発され、薬の効果が注目を浴びていた時代は、傷をほ うっておくより、薬を使ったほうが賢いというような風潮が強かったのだろう。 自然治癒力で治るということがあまり信用されなかったのか、何も使わない事 が不安だったのか。なにもせずに自然に治るのが待っていられないほどせっか ちだったのか、薬を使用して早く治すことのほうが良いと考えられていたのだ ろう。皮膚だと人目にも触れるので、うつるというイメージの悪さから早く治 したい人も多かったのだろう。その頃には、副作用などの薬の弊害よりも、多 くの人を早く治すこと、それと、経済効果なども優先されたのではないか。

体調が悪いのに休みもせず、薬だけでなんとかしのいでいる人、診察して大 した病気でもないのに薬をもらいたがる人、薬が手元にあると安心に思う人も 少なくない。それほど薬を頼りにしている人が多いのである。

「湿潤治療」は賛否両論があるらしいので、キズの場所や大きさによっては 適応できるかどうかが変わってくるようだが、消毒薬を使わず、水で洗って自 然治癒力で治すほうが、ずっと賢い治し方だし、身体にとっても良いことだと 思う。

薬を使わずに自然治癒力を高めてケガや病気が治せる方法が、実はまだまだ あるのではないか。病院にいくことと薬をもらうことがセットになっている昨 今、薬に頼り過ぎず、身体のメカニズムを正しく理解して治す方法が普及して いってほしい。教育現場でもっととり入れていってほしいと思う。

●参考

新しい創傷治療

家庭でできるすりむき傷,裂傷,熱傷の治療

---2008.06.04 (c) Mica Okamoto ---

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