I'm fine ! といつでも言える暮らしのために役立つ情報がいっぱいです。      
Home Health Supplement Child DietBeauty  
Healthトップ>[健康 コラム]  
[No.065: 熱帯魚にハマる理由]

 10年間くらいずっと熱帯魚を飼っていた。ポピュラーなネオンテトラをメインに、テトラ類とプレコなど彩りがきれいで手間のかからない種を選んでいた。

 当初リビングに水槽を置いていると、いつのまにかボンヤリ見入っている自分に気づく。ほの青い照明でブルーっぽく照らし出された水中を、気ままに泳ぐ魚を見ているとひじょうに落ち着く。雲や海を見ているのと似たような感覚だが、熱帯魚は突然急に動きが速くなったりするところが、意外性があっていい。

 以前、ネコを飼っていたことがあるが、ペットといえどもほ乳類。機嫌の良し悪しもあれば、トイレのしつけなど、つくづく子育てと共通するところが多いと思う。それだけに楽しいのだが、時々負担になるときもあった。

 それに比べて熱帯魚は、生き物を飼うという生命のつながりを感じながら、鑑賞用として割り切って扱えるのが気分的に楽。生き物でありながらそれほど感情移入できないところが、逆に魅力でもある。

 目の前にありながら水槽の中という違う世界で生きている姿を見ていると、なぜか癒される。現実でありながら、現実感がない世界。

 そんな熱帯魚が、アメリカ、特にロサンジェルスを中心にブームになっている。20〜30代のホワイトカラーが中心で、飼育方法がオーナーの美意識を反映するところが人気の秘密らしい。

 熱帯魚を飼うといっても、熱帯魚の選定だけではなく、砂の色や大きさ、藻の種類、装飾物などのレイアウトまで、水槽作りはひじょうにクリエイティブ。美的センスを要求され、知的欲求を満足させながら自然志向というのは、今の流行のキーワードがすべて盛り込まれている。

 そのうえ、ブルーはリラックスする色、水は生命の源、エキゾチックな魚たちが優雅に動き回る姿を眺めていると、その独特な世界に引き込まれ、イライラが収まり疲れも癒される。

 引っ越してからリビングではなく、玄関に水槽を置いたのだが、ボンヤリ見つめる時間は減ったものの、夜帰宅したときにドア越しに青く光る照明を見ると、ホッとしたものだ。

 最近は、パソコンに向かう時間が長くなると、ガーデニングが気になり、土をいじり出すといつの間にか時間が過ぎている。

 熱帯魚に夢中なのは、ロサンジェルスといってもIT産業の人では、と勝手に想像してしまう。人工的なものと触れる時間が長いと、自然なものにどうしても手が伸びてしまうことが多いのでは、と考えるからだ。この感覚を持っていることは、人間としてのバランスが保たれている、つまり、正常なのではないかと感じる。忙しすぎて目先のことに追われると、ペットどころか家族にさえ目がいかなくなる。そういう意味で考えると、熱帯魚は心の均衡を保つバロメーターになるのかもしれない。

---2006.4.26 (c) Mica Okamoto ---

Healthトップページ