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[No.063: 「仮面うつ病」」と「擬態うつ病」]

 うつ病は「心の風邪」といわれ、誰にでもかかる病気だ。以前は、家族や恋人など大事な存在を亡くした喪失感が原因の場合がほとんどだったが、最近は異動・転勤・進学など環境の変化やストレスがたまりすぎてなることが多くなっている。

 特にこれからの時期は、「五月病」が増える時期でもある。「五月病」というネーミングは、受験戦争に打ち勝った大学生にみられることでつけられたが、最近は学生だけでなく、新入社員、会社員の異動先・転勤先でも起こる。気力や集中力が低下し、不眠や過眠で学校や会社に行けなくなり、自信をなくし、将来に関する不安感を抱き・・・といった状態だ。

「五月病」といわれる程度だと、軽症うつと呼ばれる。軽症うつは、抑うつ気分が一日中続くような日が、そうでない日よりも多く、少なくとも1年間同じような状態が続くことをいう。まだ重症ではないので早く対処すれば回復も難しくない。

 会社や学校に行こうとすると身体がだるく、頭痛や腹痛、めまいを起こしたり、いくら休養しても疲れがとれないなどという人もよく見かける。胃痛が治らない、下痢が続くといって内科を転々とする人や、耳鳴り、めまいが治らないと耳鼻咽喉科に通い続ける人などは、ひょっとしたら「仮面うつ病」かもしれない。

「仮面うつ病」は、うつ病が原因で、身体に症状が出る場合をいう。心の病であるうつ病を認めたくなくて、身体の治療ばかりを続けようとするが、「仮面うつ病」なら心の問題を解決しないと身体の症状は消えることはない。

 うつ病になりやすい性格は、「真面目で責任感が強く、何事も完璧にやらないと気がすまない性格」、といわれるが、日本には比較的こういうタイプが多く、日本の高度成長期を支えてきたのはこのような人たちではないかと思う。生真面目で一本気な人は、心の病にかかるほど柔ではないと思いたいだろうが、多様化して価値観がめまぐるしく変わる現代では、こうタイプの人たちは生きにくい。仮面うつ病が増えているのは、そんな背景もあるのだろう。

 元気がなくなり、鬱病に見えても実は違う「擬態うつ病」というものもある。本当はうつ病ではないのに、「仕事でミスしても、具合が悪くなっても、自分はうつだから優しくしてね」という状態を指す。「擬態うつ病」かどうかは、抗うつ剤で症状が改善されるかどうかがポイントだとされる。「うつでもないのに、うつのフリして社会に甘えるなんて、本当のうつの人の苦しみを考えると腹立たしい」と思うのは当然だろう。

 しかし、この「擬態うつ病」という名前が世に出てきたせいで、本当のうつ病の人が「あなたは、本当は擬態うつ病じゃないの?」と疑われるのが怖くて周囲に相談しにくくなったり、「うつ病なんて心の弱い人がかかる病気でしょ」と思っている人はさらにうつ病を認めようとしなくなったりするケースもある。そもそも「擬態うつ病」の人は、病気に頼って生きようとすること自体、心が健全ではない。

 心の病気は、病気だと診断されると周囲に理解されたり情けをかけられたりするが、病気と診断されなければ、性格のせいだと非難される。そこが怖いからうつ病に関しても、認めたがらない人が多いのではないか。

 誰でもうつ病になる可能性があることを認め、相談できる人がいれば、もしうつ病になったとしても時間はかかったとしても必ず治るはずだ。仮面うつ病と診断されても恐れることは全くない。医師でなくても信頼できる人に相談すれば、治すきっかけはつかめると思う。

---2005.4.20 (c) Mica Okamoto ---

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