I'm fine ! といつでも言える暮らしのために役立つ情報がいっぱいです。      
Home Health Supplement Child DietBeauty  
Healthトップ>[健康 コラム]  
[No.059: 肥満は死への第一歩?]

「体脂肪」というと、すぐに肥満を連想させ、なんとなく悪者のイメージ。ダイエット食品の広告では、「体脂肪が気になる人に」といった言い方をしているのも目につく。

「食品」と「医薬品」は、食品衛生法と薬事法により定義され、それぞれの取扱いが規制されており、医薬品は効果効能をうたってもよいが、健康食品はあくまでも食品なので、医薬品のように効果効能をうたってはいけないことになっている。そのため、健康によい研究成果が出ている健康食品でも、「体脂肪減少」「血糖値を下げる」など具体的な効果をパッケージに表記すると、薬事法違反で罰せられる。

 だから、ダイエット効果のありそうな健康食品は、「あなたの体をリセット」とか「体脂肪が気になる人に」といったあいまいな表現で、何となくダイエットに効きそうな雰囲気を漂わせることになる。実際に健康食品の新商品のデビューの際は、あいまいな表現でいかに効果がありそうな雰囲気を訴えるか、で頭を悩ませているのである。体脂肪=悪者のイメージでとらえ、太ってもいないのに少しでもダイエットする人が増えたのは、そんな背景があるからだろう。

 ダイエットといって、ろくに食事もしないでいると、人間の身体はエネルギー消費をできるだけ控えて生活できるような省エネ体質になり、少しの食事でもなんとか体脂肪を蓄えていざというときに備えてしまう。これは、人間が飢餓状態に備えて生き抜くために進化した素晴らしいメカニズムなのである。ただ、飽食の現代では、進化によるサバイバル術によって肥満が増え、人間の寿命を縮めるという皮肉な事態に陥っている。

 肥満の基準はBMI指数(体重[kg]÷身長[m]の2乗)で判定し、BMIが25以上になると肥満とされる。BMI=22は最も病気になりにくい「健康体重」といわれているが、肥満とされる25になると、高血圧症のリスクが2倍、27だと糖尿病、29では高脂血症を併発するリスクが2倍になる。

 ちなみに肥満、糖尿病、高血圧症、高脂血症の4つが揃った状態は「死の四重奏」と呼ばれている。これらに喫煙が加わると、「死の五重奏」といわれる。生活習慣病の恐ろしさを表現した言葉だが、とてもインパクトがあり、怖い。

 「死の四重奏」のうち1症状があるだけで、心筋梗塞や脳卒中を併発するリスクが5倍、4つ揃うとなんと35倍に上昇する。さらに怖いのが、これらの病気は「サイレントキラー」とも呼ばれ、自覚症状がないまま密かに病状が進行し、心疾患や脳血管疾患などの重大な病気を引き起こしてしまう可能性が高く、気づいたときには手遅れ…ということも少なくない。

 糖尿病、高血圧症、高脂血症になる前に肥満の状態になっている人がほとんどなので、肥満は死のスタート地点といっても過言ではない。

 日本の肥満人口は、1998年で約2300万人。年々増えている肥満人口は、平成14年国民栄養調査結果によると、男性では30〜69歳の約3割が肥満で、どの年齢層においても20年前に比べ1.5倍程度に増加し、女性では60歳以上の肥満が最も多く、約3割にのぼる。

 中国の肥満人口は2億6000万人。アメリカでは全人口の30%以上、そして成人人口の65%は肥満であるとの報告もある。人類は豊かになって人口が増えていくと、身体の危険も省みず食欲にまかせて死に急ぎ、人口調節をするという自然の摂理が働くのかも…と考えてぞっとしてしまった。

---2004.11.14 (c) Mica Okamoto ---

Healthトップページ