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[No.050: 笑いの効用]

 大学時代の恩師の講演会を大阪で聞いた。恩師である井上宏教授は、社会学、メディア論を専攻としているが、大阪人を社会学的に研究するうち「笑い学」を立ち上げ、「日本笑い学会」の会長でもある。

 ”笑い”を江戸時代からの文化圏で見ると、侍文化で縦社会である東京では、”笑い”は人を攻撃するものと見なされ、笑いを抑えるほうがよしとされていた。縦社会の最たる軍隊では笑うのはもってのほか、笑みを浮かべただけで上官を侮辱したと罰せられたりしたという。一方、大阪は商業の中心地で町人文化が広がり、商売に欠かせない交渉時に”笑い”は人と人との間の緊張を解く必要不可欠なものと重宝されたという。

 関西人は老若男女問わず、ダジャレやくだらないボケとつっこみができるものだが、東京でいきなりやると、不真面目といわれてしまいそうなときもある。笑いを作る方も、受ける方も、それ相応の力量が必要なのだ。東西の文化の差を考えると、育ってきた環境でその能力が備わるかどうかは大きいと思う。

 江戸時代から東京中心に動いていた日本も、80年代ごろに広まった大阪の笑いのせいで、”笑い”がおおっぴらに受けるようになった。つまり日本が大阪化したと教授は解いていた。

 笑いの健康効果についてもいろいろな話を語ってくれた。
 アメリカのノーマン・カズンズという編集者が膠原病で治る可能性が少ないといわれたにも関わらず、喜劇映画を見たりユーモア本を読んでさんざん笑うと痛みがとれたため、それを徹底して継続して病気を治してしまった話や、がん患者に落語を見せて笑わせることで、がんをやっつけるNK細胞が活性化した研究報告は、笑いの効用として有名である。

 また、興味深い実話もあった。
 ある病院の咽頭がんの患者は、なにものどを通らず水も吐いてしまうほどので点滴をするしかない状態だった。そんな患者に医師がなにを食べたいかと聞くと、「マグロのトロが食べたい」という。医師は「のどをトロトロと通っていくのがええな」というと患者は「私もトロい人間ですけど」とダジャレを言って笑い合った。なんとその後、患者はトロを2切れも食べたという。

 四国のある中学生の子が不登校になり、その父親が大阪の知人に相談したところ、「大阪に連れてきいや」といわれ親子で大阪に行くと、いきなり吉本新喜劇に連れていかれ、みんなで腹を抱えてさんざん笑った。その後、四国に帰ったら中学生の子はなにかふっきれたといい、学校に行くようになったという。

 明らかに笑いの前後に変化が起きている。科学的にはまだ証明されていないが、笑うことで細胞や身体の機能のなにかが変化するのは確かだろう。

 笑いを科学するというのは、一見バカバカしいことかもしれないが、そういう思いも寄らない観点で研究することからなにかが発見されるのかもしれない。

 「病は気から」というが、その逆手をとって「笑えば健康になる」と信じて笑いの多い日々を送りたいものだ。

【参考サイト】
日本笑い学会
健康おたく生活 No.021 笑いは健康の元

---2003.4.27 (c) Mica Okamoto ---

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