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[No.044: 安全な魚]

 青魚にはDHAやEPAが含まれているため頭がよくなる、小魚はカルシウムが多く、白身の魚は良性のタンパク質で体によいなどといわれ、肉より魚のほうが健康的なイメージ。しかし、調理が面倒なので一匹丸ごとの魚が敬遠され、切り身や冷凍食品などの加工済みの魚が好まれ、魚の全体像を知らない人も増えている。子どものなかには、切り身の状態で泳いでいると信じているという子もいるらしい。

 よい魚の基準として新鮮で天然ものがいいといわれるが、切り身になっていると天然と養殖の見分けがつかない。怖いのは養殖魚に使われている抗生物質だ。

 私たちの体内にはたくさんの細菌がすんでいて、そのほとんどは無害であるばかりでなく、私たちの生体防御を担うという重要な働きをしている。抗生物質をたくさん取り入れると、味方の細菌たちのほとんどを殺してしまい、その抗生物質に対して効かないほんの少数の悪役の細菌たちが栄養を独り占めし、さらなる耐性を獲得しながら増殖し、他の細菌に耐性を移植して耐性菌となってしまう。耐性菌になるとどんな抗生物質にもうち勝ってしまうので、病気が治らなくなり命が脅かされてしまう。

 養殖魚には年間182トンの抗生物質が使われていることがわかっており、耐性菌のなかでも人間に関係の深いMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)が魚から検出される割合は5.6%だという。耐性菌を防ぐためにも養殖業は避け、天然魚を選びたいものだ。

 養殖でない魚というと、鰯、サンマ、カツオ、マグロ、タコ、イカ、甘エビ、サバ、カレイ、タラなどがあげられる。また、「銀だら」「銀むつ」「沖さわら」と呼ばれ西京焼きや白身魚フライ、フィッシュバーガーによく使われている「ホキ」「メロ」「バラクータ」は天然魚なので安心だといわれている。一方、ブリ、ハマチ、カンパチ、ブラックタイガー、車エビなどは養殖が多いので、回転寿司では食べないほうが無難かもしれない。

 天然魚は全く心配ないかというとそうでもない。ダイオキシンの心配があるからだ。ダイオキシンは脂肪部分や内臓などにたまりやすいので、安全のことを考えれば、脂っこい魚や内臓を食べるのは避けた方がいいだろう。

 獲れた場所によっても汚染濃度も違う。以前、ある雑誌で日本のダイオキシン汚染マップを載せたところすごい反響があったという。低濃度の汚染で発ガン性や生殖障害、肝障害などを起こすので敏感にならざるをえないが、実際のところ産地を見分けるのは難しい。切り身などに加工されたらお手上げだ。

 最近、アメリカでは健康ブームで肉をやめツナなどの魚を常食していた人に水銀中毒が見つかったという報告がある。体のしびれ、すぐ転んだり、音がよく聞こえないなどの症状が現れて調べてみると、高濃度の水銀が検出されたという。水銀中毒といえば水俣病が有名だ。

 こんな話を聞くと、安全な魚はどこにもないのではと不安になり、なにも食べる気がしなくなってしまうが、少しでも正しい情報を得て広告などに振り回されず、自分で判断することから始めるしかないのだろう。自然環境を壊しているのは人間のほうなので、自業自得といわれれば終わりだが、元に戻すことができるのも人間しかいない。これ以上水域が汚染されないように、また少しでも環境が改善されるためにも、安全な魚が食べられるようにするためのひとりひとりの行動が大事なのではないだろうか。

---2002.12.5 (c) Mica Okamoto ---

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