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[No.035 無認可香料事件に見る食品添加物の落とし穴]

 健康が気になる人はよくない食品添加物はできるだけ避けたいと思う人も多い。着色料など人工着色料なら「黄色5号」「赤色102号」、天然着色料なら「赤キャベツ色素」「カロチン」などと表示されるので、具体的な内容を把握できる。

 しかし、唯一の手がかりとなる成分表示でもチェックしきれないものがある。香料がそれだ。以前、食品添加物についてメーカーを取材した際に、「企業秘密です」の一言で済まされただけに、疑惑のターゲットとしてずっと気になっていた。そんなところに、とうとう事件が起きた。

 協和香料化学・茨城工場でつくられた香料に食品衛生法で認可されていない3物質(アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ヒマシ油)が使われていたのだ。

 大手食品メーカーは自主回収に踏み切った。大塚製薬、森永製菓、明治製菓、タカラブネ、良品計画、不二家、カバヤなど、メーカー数は増える一方。スーパーも自衛策を講じている。

 しかし、食品メーカーも問題の物質を使ったかどうかの確認作業に手間取っている。香料には物質名までの表示義務がなく、ただ「香料」としか表示されていないため、商品の表示を見る限り確認は不可能。どの原材料に問題の添加物が添加されているのかもわからないのだ。

 そのうえ、問題の香料は協和香料化学から別の香料メーカーにも卸されているため、二重三重の確認作業が強いられる。この混乱はしばらく続き、スーパーの棚が寂しくなるのもまちがいないだろう。

 香料に使われる成分は数百種類もあり、実際に表示することは難しいという問題がある。ラベルに「香料(・・・・)と化学物質名が延々と並ぶことになる。最近の化粧品のパッケージの側面に並ぶカタカナの文字を思い出すとわかるだろう。食品は、小さなサイズものもあるので、商品にたった数%しか含まれない香料に、成分の表示義務がないのも理解できる。

 このように化学物質名で表示されず、用途名だけの食品添加物は、香料の他にもある。酸味料、pH調整剤、乳化剤、イーストフード、かんすい、膨張剤、調味料など。

 パンによく使われるイーストフードは、「イーストフード」という物質名だと思っている人も多いようだが、「パンの酵母であるイーストのエサになる」からこの名前がついた。実際には、塩化アンモニウム、炭酸カリウム、塩化マグネシウムなどの化学物質でできている。ラーメンに使われる「かんすい」も同様。炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、ピロリン酸四カリウムなどでできている。かんすいのポリリン酸ナトリウムは、ラットの実験で腎臓の石灰化、胃の出血などが起きている。

 イーストフードもかんすいも、成分名の表示義務がないので、どんな化学物質を使っているかは消費者からはわからない。

 このように、用途名で表示があるため消費者にわかったような気分にさせるのだが、実際には何も把握できない。消費者側からすると、成分名がたくさん並んだら余計に判別しにくいという人もいる。

 今回の事件でメーカーは一方的な被害者のように見えるが、香料はメーカーの注文に基づいてつくるものなので、内容成分をチェックしようと思えばできたはずである。

 安全な食品を心がけ、食品添加物をできるだけ排除した商品を作っているメーカーも存在するが、ほとんどが中小企業。大企業のように高い営利をあげるためには、何らかのコストをコントロールしているとしか思えない。食品添加物の表示の基準になる食品衛生法に抜け道があることで、それを利用し、合法的に利益をあげる食品メーカーや食品添加物製造関連企業があってもおかしくない。

 食品添加物の無認可香料がどれほど健康に被害を及ぼすかをあまり報道しないので消費者もピンと来ないのかもしれないが、法で規制されていること自体が証拠である。認可に手間がかかるというだけで認可申請もせず、黙って使い続ける企業体質の問題は大きい。雪印乳業のときに下痢などが発症して大騒動になったが、そうなる前に、危険な食品を拒否する消費者の姿勢も必要ではないかと思う。

日本食品添加物協会
食品添加物を調べてみよう(フジテレビ商品研究所食品添加物データベース)も参考にして下さい。

---2002.6.5 (c) Mica Okamoto ---

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