食物繊維は低カロリーで便秘を解消するため、今やダイエット食品の代名詞
となっている。他にも腸内の善玉菌を増やす、コレステロール値を下げる、ダ
イオキシンを排出する、大腸ガンを防ぐなどさまざまな効果があり、食物繊維
は人気の栄養素として注目されている。
繊維の多いものと聞くと、ゴボウやセロリなど、野菜の筋っぽいものを連想
してしまうが、実際にはゴボウには多くとも、セロリには思ったより少ない。
今では「人間の消化酵素で分解されないもの」と定義されており、こんにゃく
や海藻類、豆類、玄米、小麦全粒粉など、筋っぽいものでなくても多く含まれ
ている。
食物繊維には便秘を解消する効果があるのはご承知のとおり。食物繊維によ
って便の量をふやして大腸を刺激したり、食物繊維を腸内細菌が分解したとき
にできる酸が腸壁を刺激したり、食物繊維の種類によって効果の発揮の仕方は
違うが、効果は確実。便秘を防ぐ効果が結果的に大腸ガンの予防にもなる。
ただし、機能性飲料や加工品などで使われている食物繊維は、でんぷんなど
を加工したり化学合成して作られているが、これらの食物繊維は便秘は解消し
ても、有害物質を吸着して体外に排出することはできない。ファイバー飲料よ
りも野菜や果物、穀類などの食物繊維のほうが一枚上手なのだ。
こんなに健康効果のある食物繊維だが、つい最近まで栄養学のうえで栄養に
ならない役に立たないものといわれていた。それが、英国の医師がヨーロッパ
人とアフリカ人の食事を比較し、食物繊維の摂取が少ないと大腸ガンになる可
能性が高くなると報告してから、一躍、脚光を浴びたのだ。
1つの研究発表で火がついて、要らないといわれてきたものが必要なものと
して注目される。学問とはそういうものといわれれば仕方がないが、もともと
食べていたものなんだから、体にいいものと悪いもの、要るものと要らないも
のに分けるほうが変な感じがするのは私だけだろうか・・・
---2000.9.25 (c) 2000 by Mica Okamoto ---
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