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[No.024 イヤな現代病、シックハウス症候群]

 先日、知人が購入した新築マンションに遊びに行った。子どもが生まれ、手狭になった賃貸マンションから移った広い4LDKは、3人家族なので1人1つ自分の部屋を持てるし、1フロアなので広い感じがする。幹線道路から離れた高台で緑に囲まれ、夏場はセミとりもできるほど、環境がいいところなのでうらやましく思った。

 しばらくたって、その知人から電話があった。
「37度くらいの微熱がずっと続いているの。アトピーもぶりかえし、顔にも出て、かゆみがおさまらなくて・・・元気もないから、外にも出られない」。子どもは9ヶ月で最も手がかかる時期なのに、母親がそんな状態じゃ大変だろうな、と思っていたら、その1週間後、また電話が。化学物質過敏症の研究で有名な北里大学病院で看てもらい、シックハウス症候群だといわれたという。

   化学物質過敏症は、有害な化学物質が原因で、症状は目の痛み、涙、めまい、頭痛、吐き気、呼吸困難、微熱、湿疹などさまざま。一度なってしまうと微量な化学物質にも反応して症状が起こるので、外出できなくなる人もいる。

 原因のほとんどは、壁紙や塗料、糊料などの建材で、住宅の新・改築が発症の要因になる場合が半数以上を占める。そのため、住居が原因のものは、シックハウス症候群と呼ばれる。建材以外でも、カーテンや家具などに施されている防炎加工やドライクリーニングの溶剤、接着剤、カーワックス、タバコの煙などでも、化学物質過敏症は発症する。現在、日本では人口の5%の500万人ほど患者がいるといわれている。

 今のところ、医学界では病気として認めておらず、病院にいってもストレスや更年期障害などで片づけられることが多い。建設会社を相手取った損害賠償請求訴訟も起きているが、化学物質と症状の因果関係の証明が難しく、見通しは明るくなさそうだ。

 知人も病院で化学物質過敏症と診断されただけで、具体的な治療をされたわけではない。冬でも窓をあけ、化学物質を吸着してくれるという活性炭や備長炭を部屋においたり、鍼で症状を抑えたり、自分で調べながらさまざまな試みを続けているようだ。買ったばかりの家から引っ越しするわけにもいかず、一時は実家に避難したこともあるとか。幸い日常生活に支障をきたすほどではなかったが、それでも「子どもに出なくてよかった・・・いや、今出ていなくても成長の課程で何か起こるかも、と考え出すと怖い」といっていた。

 夢に見たマイホームを手に入れたことで、こんなことが起こるなんて、まるで悪夢のよう。日本人のマイホーム願望や自然を壊して住宅を作り続ける人間に対する仕打ちなのか。行政もようやく思い腰を上げ調査を始めたが、土建国家日本が建設会社に規制させることがすぐにできるはずがない。ある裁判では、因果関係を一部認めたが、「一般的に相当の割合で存在すると認められない」と賠償責任まで認められなかった。多くの犠牲が出れば法などが整備されるのだろうが、そんなこと待っていられない。自衛策を学ぶほうが先決だろう。

---2000.5.24 (c) 2000 by Mica Okamoto ---

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