5.生体リズムにあわせた病気の治療
夜眠っている時も身体のすべての機能が休んでいるわけでなく、1日中生体リズムは休まずに規則正しく動いています。
昼間は骨格筋や交感神経活動し、夜には内臓や副交感神経が活動するというように、身体の機能は交替勤務性になっています。この交替勤務をつかさどるのが生体リズムです。
交替の時期は睡眠時間のちょうど中間点にあたり、「生体リズムの零時」といいます。そのときに十分に休養していれば、この零時がリズムの狂いやズレを調節するポイントになります。しかし、その地点にうまくスイッチできない場合、病気が発生する原因にもなります。
【病気が発生しやすい時刻】
◆脳出血---高血圧が起こる夜10時前後
高血圧には1日中高血圧状態の「終日型」と夜間血圧が上がる「夜型」がある。高齢者は夜型が多く、その多くの原因は自律神経のバランスの乱れ。夜型の人は夜10時前後に脳出血を起こしやすい。
◆狭心症 ----午前4〜6時
自立神経が副交感神経へスイッチする午前4時〜6時の間は、心臓の拍動数や血圧が急上昇するため、心臓の筋肉負担が大きくなり、不整脈が起きやすい。
また、自律神経のスイッチがうまくいかないと、心筋に酸素や栄養を供給している冠状動脈がけいれんを起こることもある。
◆脳梗塞 ----朝方
狭心症と同じで、血圧や脈拍数が上昇する朝方に発症しやすい。交感神経の働きを促進させるホルモンが増えるため、血圧や脈拍が上がり、動脈への負担が高まる。また、血液の粘度も増すため、固まりやすくなるのも朝方です。
◆ガン細胞増殖 ----真夜中
細胞の増殖や成長ホルモンの分泌など、からだの代謝が最も活発になるのが睡眠中は昼間傷ついた細胞などを整備する時間帯。ガン細胞もこの時間帯に増殖する。
◆胃潰瘍 ---熟睡した最初のころ
熟睡する眠りの前半ごろ、夜11時に寝る人なら夜中の2時ごろ、成長ホルモンの分泌量が最大になるため、胃酸の分泌も多くなり、胃潰瘍が進む。
◆急性心筋梗塞 ---朝起きて1〜2時間後
冠動脈がつまって心臓を動かす心筋が壊死する急性心筋梗塞も、血圧上昇、脈拍数増加、血液粘度の増加という原因で午前中に起こる。特に朝起きてから、1〜2時間後にひんぱんに起こる。また、目覚めてから11〜12時間後の夕方にも起こりやすい。
◆気管支ぜんそく--朝方
気管支の太さは、昼間は太く開くが、夜眠ると徐々に細くなり、明け方に最も細くなる。しかも、明け方には免疫力が衰えているため、気管支ぜんそくが起こりやすい。
【クスリがからだに効く時間】
さまざまな病気の発症しやすい時間に効果的な治療をする「時間治療」あるいは「時間予防」という考え方が医学にも反映され始めています。
病名 | 時間帯 |
脳出血 | 午後5時ごろ |
運動狭心症 | 目覚めて布団から出るとき |
異形狭心症 | 寝る前 |
脳梗塞 | 就寝時 |
ガン | 夜中に飲めば効果的 |
胃潰瘍、十二指腸潰瘍 | 就寝前、牛乳を一緒に飲むと胃酸で荒れるのを抑えられる。 |
気管支ぜんそく | 就寝前に発作を抑える薬を飲む |
このように生体リズムに合わせて、症状のでやすい時間にクスリを飲むことで、効果をあげることができるようになりました。
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