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子どもの健康情報【思春期病】


 疲れやすい、頭痛、腹痛、めまいがする…
 思春期の子どもたちが訴えるこれらの症状には、貧血や自律神経失調症が引き起こす障害など治療の必要な病気が隠れていることが少なくありません。「思春期で身体が変わる時期だから」とか「やる気が足りない」などと、ほうっておかれることが多いようですが、これらの症状が出たら「思春期病」と考えて対応したほうがいいでしょう。

 東京都立母子保健院の北島晴夫・小児科医長は、以前に勤めていた慈恵医科大学柏病院の思春期外来を訪れた患者約550人の不定愁訴の原因について分析しました。

 【不定愁訴の原因】

        
  1. 生活リズムの崩れ 50%     
  2. 鉄欠乏症     20%     
  3. 起立性調節障害  10%     
  4. スポーツ障害   10%     
  5. 心身症      10%

 ◆鉄欠乏症

 最も見逃されやすいのが鉄欠乏症。学校の健康診断では、まぶたの裏を見て貧血の有無を調べますが、この方法では重症の貧血しかわからず、軽い貧血や貧血にまでいかない鉄欠乏症は採血しないとわからないため、見落とされることが多いそうです。

 体格が大きくなる思春期は、体内のエネルギーの生産や酸素の運搬にかかわる鉄分の需要が増えますが、偏った食習慣や生理がプラスされ鉄分は不足気味に。最近は運動部の選手に目立つそうです。

 バレーボール部のある中学二年生の女子は、疲れやすく、練習についていけなくなり、イライラしがちで、集中力も欠け、朝起きるのもつらくなったため、血液検査すると、貧血前の鉄欠乏症と判明。鉄分の錠剤を飲み続けたところ、1ヶ月で回復しました。

 思春期の貧血の頻度は、男子で1〜2%、女子では8〜10%。貧血予備軍は、男子5%、女子では20〜30%とかなり多め。予防として、生活リズムを整えること、食事で鉄分を補給すること、そして、無理なダイエットはしないことが重要です。

 ◆起立性調節障害

 起立性調節障害は、体格が大きくなるのに神経や血管などの成長が追いつけずに起きる、一種の自律神経失調症。立ちあがったときに下半身の血管が収縮して血液を上に送り返す働きがうまくいかず、頭や身体の中心部の血液が減って、立ちくらみを起こします。動悸や息切れがしたり、朝なかなか起きられず、午前中調子が悪かったりします。

 私立中学に通う中学1年の男子が、片道1時間半をかけて電車通学していたところ、5月の連休明けから顔色が悪くなり、頭痛を訴えるように。授業に集中できず、居眠りもするようになったため、病院を訪れたところ、起立性調節障害と診断され、身体を刺激する薬を朝飲み、早起きを心がけるようにしたら少しずつ良くなりました。

 日本大学名誉教授の大国真彦・表参道眼科小児科クリニック院長によると、起立性調節障害の頻度は30%ほどで、治療が必要な例は2〜3%ですが、これが原因で学校に行けなくなる子どもが登校拒否と間違われる例が少なくないそうです。

 ◆子どもの状態を見極めて

 思春期特有のアンバランスな身体に起きる症状を「思春期病」として、周りの大人が理解することが大事です。

 寝起きが悪くて遅刻が多い場合、怠け癖なのか、本当に身体の具合が悪いのか、大人が様子を見極めることが大切です。起立性調節障害は顔色が悪いのが特徴で、朝礼のときに立ちくらみを起こしたり、午前中ぼんやりしていたりすることが多いようです。親が気づいて早めに治療すれば、ほとんどは改善するので、家庭や学校での様子を注意して見守ることが大切です。

参考:朝日新聞 99.12.04


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