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子どもの健康情報
【2歳までテレビ抜きで!
乳幼児の長時間視聴は、言葉の遅れや集団不適応などが起きる】


 乳幼児に長時間テレビやビデオを見せることは、「コミュニケーション能力が身に付かず心身の発達に影響するのでは」「暴力的なシーンをマネしてトラブルを起こすのでは」という心配があります。しかし、よくないと思いながらも、ついつい家事の邪魔をされないようにテレビをつけっぱなしにしている母親は少なくないのではないでしょうか。

 2004年2月、開業医約6500人の小児科医でつくる社団法人日本小児科医会は、「子どもとメディア」について5項目の提言を発表しました。

「日本小児科医会」提言
 1.2歳までのテレビ・ビデオ視聴は控える。
 2.授乳中、食事中のテレビ・ビデオの視聴はやめる。
 3.すべてのメディアへ接触する総時間は1日2時間までが目安。
   テレビゲームは、1日30分までが目安。
 4.子ども部屋にはテレビ、ビデオ、パソコンを置かない。
 5.保護者と子どもでメディアを上手に利用するルールを作る


 また、4月には、日本小児科学会が緊急提言を行いました。

「日本小児科学会」提言
 1.2歳以下の子どもには、テレビ・ビデオを長時間見せないようにしましょ  う。内容や見方によらず、長時間視聴児は言語発達が遅れる危険性が高まります。
 2.テレビはつけっぱなしにせず、見たら消しましょう。
 3.乳幼児にテレビ・ビデオを一人で見せないようにしましょう。
 見せるときは親も一緒に歌ったり、子どもの問いかけに応えることが大切です。
 4.授乳中や食事中はテレビをつけないようにしましょう。
 5.乳幼児にもテレビの適切な使い方を身につけさせましょう。
 見おわったら消すこと.ビデオは続けて反復視聴しないこと。
 6.子ども部屋にはテレビ・ビデオを置かないようにしましょう。


 メディアが乳幼児に与える影響として、2003年日本小児科学会が1歳半の子をもつ親1900人を対象にした調査では、テレビ・ビデオを4時間以上見ている子ども(長時間視聴児)は、4時間以下の子に比べ、言葉が出るのが遅い割合が1.3 倍となりました。  また、子どもの近くでテレビが8時間以上ついている家庭(長時間視聴家庭)の子どもで言葉の出現の遅れの率が高く、特に、長時間視聴家庭における長時間視聴児の言葉の出現の遅れの率は短時間視聴家庭の子どもの2倍でで、地域によっては、長時間視聴児に言語発達全般の遅れが認められました。
 また、小児科医会が不登校やいじめ、虐待、引きこもりなどの問題を検証した際、子どもとメディアについての下記のような事例があがりました。

事例1  1歳の時にビデオを繰り返し視ていた女児は、2歳になっても声が出ず、呼んでも振り向かなかった。小児科医がテレビを見ることをやめさせると、症状が改善した。
事例2  4歳になっても言葉をうまく使えず、保育園でも集団行動にとけ込めなかった女児は、母親が0歳児の時からビデオを長時間見せていた。見せないようにしたところ、1ヶ月で改善した。
事例3  顔の表情が乏しかったり会話が少なかった幼児が、テレビ・ビデオの視聴をやめさせたところ、表情が豊かになり、会話が増えた。

 提言の背景には、子どもと親がうまくコミュニケーションがとれない原因として、子どもとメディアの関係が重要ではないかと考えられたからでした。

   「2歳までのテレビ・ビデオ視聴は控える」とした理由は、脳の重量は5歳までに大人の90%になりますが、0歳〜2歳までが急速に発達し、この時期に親子のスキンシップも含めたコミュニケーションが不足すると、心や言葉の発達に大きく影響するからです。

 「NPO法人 子どもとメディア」の調査によると、授乳中や離乳食を与える際、テレビがついている家庭は67%あり、「目をそらす子」はテレビがついていない家庭では28%なのに対し、ついている家庭では36%と高い結果が出ました。

 一般に大人はテレビがついていると頻繁にはしゃべらないし、相手の顔を見て話すことも減ります。そのため、テレビがついていると親子で一緒に見ていても、親の話しかけや親子が向き合って長く会話することは少なくなります。従って、テレビが長時間ついていると、会話が減少し言語発達の遅れの可能性が高まります。

 視聴時の親の関わりが少ない長時間視聴児では、言葉の出現が遅れる率がひじょうに高く、そうでない子どもの2.7倍に達しているという結果も出ています。言葉の他に、言語理解、社会性、運動能力にも遅れる傾向がみられました。乳幼児にはテレビ・ビデオを一人で見せないようにしましょう。

 個室でテレビを見たりゲームしたりすることは、引きこもりに原因になる可能性があります。テレビなどを見るときは、1人で一方的にテレビの情報を受けるのではなく、家族と一緒に会話しながらメディアとのつきあい方を身につけることが大切です。子どもはテレビが楽しければずっと見ていたいといい、自分で規制ができません。小中学生になっても、1日何時間、どの番組を見るかを親子で話し合ってルールを決め、親が規制することが必要です。

 乳幼児には、親がいろいろ話しかけたり、一緒に遊ぶ、絵本を読み聞かせるといった親子のスキンシップがひじょうに大切です。このような親子のふれあいから、コミュニケーションの力がはぐくまれます。今の乳幼児の親が子どもだった時代でも「テレビばかり見てないで…」とよく怒られたものですが、今はテレビだけでなく、ビデオやゲームなどのメディアが増え、生身のコミュニケーションの時間が減少しています。きちんとコミュニケーションができる子どもに育てるためには、子どもにメディアとのつきあい方を教えられるよう、親も自覚をもって生活を見直していく必要がありそうです。

【関連サイト】
日本小児科学会 学会からの提言〜「乳幼児のテレビ・ビデオ長時間視聴は危険です」
提言と背景となった日本小児科学会こどもの生活環境改善委員会による調査、解説があります。

子どもとメディア
社団法人日本小児科医会「子どもとメディア」対策委員会による「子どもとメディア」の問題に対する提言(PDF)があります。


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